ダイヤモンドのクラリティ比較

9.ダイヤモンドの透明度を表す
“クラリティ”

婚約指輪の選び方08
ポイント

1.評価するのはインクルージョン(内包物)とブレミッシュ(疵)の程度

クラリティ(透明度)は、ダイヤモンドのインクルージョン(内包物)やブレミッシュ(疵)が相対的にどの程度少ないかを評価する指標です。クラリティ(透明度)はダイヤモンドのインクルージョン(内包物)やブレミッシュ(疵)が少ないほど高評価になります。

ダイヤモンドは地球内部の地下深く、極度な高熱と圧力のもと形成されるため、ほとんどのダイヤモンドには内部に不純物などの内包物が含まれ、表面にはさまざまな疵などの独特の特徴があります。自然界では全く欠点の無い完璧なダイヤモンドはほとんど存在しません。

クラリティグレード(評価)10倍拡大下で観察し、フローレスからIまでを評価します。ダイヤモンドが大きくなるほどクラリティ特徴は見つけやすくなります。

インクルージョン(内包物)
ダイヤモンドの内部に完全に包み込まれた特徴と、表面からダイヤモンドの内部に入り込んでいる特徴があります。
ダイヤモンドが地中で形成される際に入った他の鉱物結晶などの異物、裂け目や割れといった結晶構造の歪みの痕などを指します。
ブレミッシュ(疵)
ダイヤモンドの表面に限定された特徴で、擦り傷や欠けなどを示します。

クラリティグレード(クラリティ評価)を決める4Cのダイヤモンドクラリティスケールは、厳格な基準のもと6つの大カテゴリー、さらにその中の細分化した子カテゴリーに分かれており合計11段階で評価されます。

クラリティのグレード評価

※ラボグロウンダイヤモンドはVS1からのご用意となります。
※ラボグロウンダイヤモンドは店頭のみでのお取り扱いです。

2.クラリティグレード

FL:フローレス
(Flawless)
FLのダイヤモンド01
FLのダイヤモンド02
FLのダイヤモンド03

外部内部無欠点を指します。
熟練のグレーダーが10倍に拡大検査しても外部、内部共にいかなるインクルージョン、疵(きず)などの欠点も確認することができない最高評価のクラリティグレードです。ジュエリー業界人でさえ見たことがない人も多いといわれ、一般の市場ではほとんど流通しない極めて希少価値が高いグレードです。

フローレスについて

ラウンドブリリアントカットのダイヤモンドでは「フローレスクラリティ・Dカラー・VVS1クラリティ」が完璧な組み合わせとされ、大粒のダイヤモンドでは資産価値のある特別なグレードと認知されています。グレード評価にはルーペと顕微鏡、双方の検査が必要になります。
フローレスは欠点が極端に少ない品質のため、疵(きず)などによる個体の識別が困難です。そのためダイヤモンドと鑑定書との同一性の確認には、レーザー光線でのガードル刻印番号の確認が最も確実な手段と言えます。
※中央宝石研究所(CGL)鑑定のフローレスに関しては、ガードル刻印は施されていません

外部内部無欠点と言われるフローレスですが、以下の特徴が観察されてもフローレスの範囲にあると定められています。

  • ガードル幅内に限定されたナチュラル(研磨されたダイヤモンドの表面に残ったダイヤモンド原石の小さな縁)
    ほとんど場合肉眼では確認できません。ただし、ナチュラルがガードルの輪郭を平坦にしたり窪ませている場合はグレードに影響します
  • フェイスアップで観察が認められないパビリオン上にあるエキストラファセット(カットのスタイルに必要とされない余分なカット面)
  • 10倍拡大下においてフェイスアップで観察した際、内部に入り込んでいないと判断できるレーザー刻印
  • 反射性がなく、白色や他の色を帯びず透明度を阻害していない内部グレーニング(成長線※)
    ※内部グレーニング(成長線):結晶が形成される際にできる年輪に似た線状の層のこと
FLのダイヤモンドを探す
IF:アイエフ
(Internally Flawless)
IFのダイヤモンド01
IFのダイヤモンド02
IFのダイヤモンド03

内部無欠点、外部に非常に微細な疵痕等が確認できる品質です。フローレスとならび市場に流通している中では最高品質のクラリティグレードです。熟練のグレーダーが10倍に拡大しても内部にはインクルージョンなど欠点を見つけることはできません。IFレベルの表面疵の確認は、熟練のグレーダーでも非常に困難です。
フローレスとの差は顕微鏡レベルでの違いとなり、内包物インクルージョンが10倍で確認できないグレードはフローレスとIFのみです。

欠点が極端に少ない品質のため、フローレスと同様にガードル確認番号などでの同一性の確認がなされます。
IFの表面の疵は極わずかで顕微鏡でやっと確認できるレベルのため、鑑定書には個別のクラリティ特徴としての記載がありません。その代わりIFの鑑定書のCrarity Characteristicsの欄には必ず“Minor Details of Polish”「極わずかな細部の研磨(ブレミッシュ)は示されない」というコメントが入ります。

IFのダイヤモンドを探す
VVS1:ブイブイエスワン
(Very Very Slightly Included 1)
VVS1のダイヤモンド01
VVS1のダイヤモンド02
VVS1のダイヤモンド03

ごくごくわずかな内包物のある状態を指します。
熟練のグレーダーが10倍に拡大しても、フェイスアップによる観察ではインクルージョンの判別は極めて困難であり、フェイスダウンでようやく発見できる程度です。
VVSクラスのダイヤモンドは、一般環境下では熟練のグレーダーでも正確な基準を明確にするのは難しくなるため、ほとんど欠点を確認することはできません。一般的に流通している品質としては非常に優れた最高クラスのクラリティグレードです。

VVS1のダイヤモンドを探す
VVS2:ブイブイエスツー
(Very Very Slightly Included 2)
VVS2のダイヤモンド01
VVS2のダイヤモンド02
VVS2のダイヤモンド03

ごくごくわずかな内包物のみを含むという評価の中でも、VVS1に次ぐ次点の格付けを指します。
熟練のグレーダーが10倍に拡大してもインクルージョンなどを認めることが非常に困難で、一般環境下で確認できることはありません。
VVSクラスのダイヤモンドは、微細極小なインクルージョンなどの可視性の程度や表面疵の程度で、VVS1かVVS2のどちらなのかが決まります。VVS1との違いは10倍では確認できません。一般的に流通している品質としては非常に優れた最高クラスのクラリティグレードです。

VVS2のダイヤモンドを探す
VS1:ブイエスワン
(Very SlightlyIncluded 1)
Very VS2のダイヤモンド01
Very VS2のダイヤモンド02
Very VS2のダイヤモンド03

ごくわずかなインクルージョンが存在する品質で、熟練のグレーダーが10倍に拡大した際に内包物などの確認が困難なグレードです。
一般の方が肉眼で確認するのはもちろんのこと、10倍に拡大しても内包物等を認めることは困難です。そのためVS1には微小なインクルージョンが存在しますが、軽度と評価されるクラスに位置します。
典型的なインクルージョンは小さな内包結晶、小さなヒビや亀裂、小さな雲上のインクルージョン(クラウド)などです。VSクラスのインクルージョンは石の美しさには影響しません。一般的に流通している品質としては非常に優れた、最高クラスと遜色が無いクラリティグレードです。

VS1のダイヤモンドを探す
VS2:ブイエスツー
(Very SlightlyIncluded 2)
VS2のダイヤモンド01
VS2のダイヤモンド02
VS2のダイヤモンド03

ごくわずかなインクルージョンを含むという評価の中でも、VS1に次ぐ次点の評価の格付けを指します。
熟練のグレーダーが10倍に拡大した際にインクルージョンなどを確認することがやや容易にはなりますが難度が高く、また一般の方だと10倍に拡大しても内包物等を認めることは非常に困難です。肉眼での確認はできない優れたクラリティグレードなので、VVSクラスと見た目は変わりません。
このようにVS2までのグレードには、輝きに影響したり、サイズが大きく耐久性に影響を及ぼすインクルージョンは含まれていません。

VS2のダイヤモンドを探す
SI1:エスアイワン
(Slightly Included 1)
SI1のダイヤモンド01
SI1のダイヤモンド02
SI1のダイヤモンド03

わずかに明瞭なインクルージョンが存在し、熟練のグレーダーが10倍に拡大するとその発見が比較的容易な品質です。
通常のSI1のインクルージョン特徴は拡大しない限り肉眼で認められるものではなく、一般の方が10倍に拡大して見ても内包物などを判別することはやや困難です。

※SI1クラスの取り扱いはございません。
SI2:エスアイツー
(Slightly Included 2)
SI2のダイヤモンド01
SI2のダイヤモンド02
SI2のダイヤモンド03

わずかに明瞭なインクルージョンが存在するという評価の中でも、SI1に次ぐ次点の格付けを指します。10倍に拡大した場合、一般の方でも比較的容易に内包物などを確認できます。
またSI2クラスでは、0.5ct以下のやや小ぶりなダイヤモンドを肉眼で見た際に欠点を確認できない場合が多いですが、それ以上のサイズになると稀に肉眼でも内包物を認められることがあります。

※SI2クラスの取り扱いはございません。
I1、I2、I3:アイワン、アイツー、アイスリー
(Included)
SI2のダイヤモンド01

フェイスアップでインクルージョンや疵などの欠点が肉眼でも容易に確認でき、耐久性にひどく影響を与える可能性があります。大きいインクルージョンや多数のインクルージョンによりダイヤモンドの透明度、輝きに影響を及ぼします。
また、肉眼で疵などが確認できる目安の品質になるため、多くは鑑定書などが付属しません。そのため婚約指輪で使わることは少なく、安価なファッションジュエリーなどに多く用いられます。

※Iクラスの取り扱いはございません。

各グレードにおける内包物の見え方
(10倍拡大下)

クラリティ 熟練のグレーダー 一般の方
発見できないクラス
FL
IF
10倍のルーペだけでは熟練のグレーダーでも見えない、確認できないクラス。ルーペと顕微鏡、双方での検査が必要な特別なクラスです。
発見が非常に困難なクラス
VVS1
VVS2
極めて困難
非常に困難
見えません
見えません
発見が困難なクラス
VS1
VS2
困難
多少困難
見えません
非常に困難
発見が困難なクラス
SI1
SI2
容易
大変容易
やや困難
比較的容易
発見が比較的容易なクラス
I1
I2
I3
透明度や輝きに影響する明らかな内包物があり、ほとんどの場合、肉眼で確認できます。I3は石の耐久性に影響する内包物が含まれます。

3.クラリティ選びで重視するポイント

クラリティを選ぶ際には「求める透明感」とダイヤモンドの美しさを左右する「4C全体の調和」の2つがポイントになります。

各グレードの特徴を改めて見てみると、一般市場にほとんど流通することがないFL(フローレス)やIF(アイエフ)は「無傷・無欠点」という大変稀少性の高い品質のダイヤモンドと言えます。
VVS1・VVS2・VS1のダイヤモンドは、エキスパートが10倍の拡大鏡で見ても欠点を確認することが極めて困難な品質です。さらにVS2であってもエキスパートが慎重に観察しないと見分けがつきにくいレベルのものです。
これがVVS〜VSクラスの限りなく欠点の少ないグレードが「純粋・無垢」の象徴として婚約指輪に最も多く選ばれる理由のひとつかもしれません。

もっと詳しく

クラリティグレードの判断要素

実際にクラリティグレードを決める際、判断基準となる要素は5つです。
5つそれぞれを個別に判断するわけではなく、特徴の要素全体のバランスを見てグレードが決められます。

サイズ
インクルージョンのサイズが小さくなるほど評価に影響があります。
サイズによる評価は顕著にグレードに影響があります。
通常、最も大きい1~2個のインクルージョンによってグレードが決められます。そのためインクルージョンがいくつあるかというその数自体は、グレードを左右する要因にはなりません。
無数の微小なインクルージョンが認められたとしても、クラリティ評価が上位に位置づけられる場合もあります。
位置
インクルージョンの位置も見た目に大きな影響を与えます。特にテーブル下に位置するインクルージョンはガードル部分のような端にあるものよりも遥かに目立つため、カッターはダイヤモンドの“心臓部”と呼んで重視しており、この箇所にインクルージョンが入らないよう細心の注意を払ってダイヤモンドを切り出します。
性質
フェザー(ダイヤモンドの表面にまで達するヒビや亀裂の総称)は他のインクルージョンよりもはるかにグレード判定に影響があります。特に大きなフェザーがテーブルに達していたり、クラウンからガードルに伸張している場合はより影響が大きくなります。
レリーフ(色、輪郭、見えやすさ)
大抵のインクルージョンは白色や無色ですが、黒色や褐色、暗赤色、緑色なども存在します。色のついたインクルージョンは見つけやすいためクラリティグレードに影響しやすい傾向にあります。

欠点の少ないダイヤモンドほど価値がある理由

多くのダイヤモンドの原石には内包物や疵など外観の欠点が存在するため、それら欠点を避けながら研磨を施します。そのため歩留まり(重さ)を犠牲にすることも多く、欠点の無いダイヤモンドというのはそれだけ希少性があり、フローレスやIFなどの無傷領域では極端に価値が高まります。この「希少性」と透明度の高さが生み出す「美しさ」が、欠点の無いダイヤモンドほど価値がある理由です。

しかし一方で、全く同じ場所に全く同じインクルージョンを持つダイヤモンドは二つと無いことから、内包物の存在は天然ダイヤモンドであること、そしてダイヤモンドのオリジナリティの証になります。
そのため、価値の高い無傷のダイヤモンドはインクルージョンのあるダイヤモンドより区別が難しくなるという側面もあります。